DATE: 2020-03-31
民泊規制は今後どうなる? 海外と国内の差
従来、旅行者などを宿泊させるためには「旅館業法」や「簡易宿所」などの法律のもと、一定条件をクリアした建物のみが許認可されていました。
ところが2020年東京オリンピック・パラリンピックに多数の外国人や観光客が訪れ、おもに都内のホテルや旅館が供給不足に陥るという懸念から平成30年(2018年)6月15日より「住宅宿泊事業法」(民泊新法)がスタート。
この法律により戸建て住宅やマンションの空き部屋を利用して、出張者や旅行者に対する宿泊サービスが提供できるようになったのです。
事業をおこなうには都道府県知事への届け出や民泊サービスの日数制限など規制もありますが、空室になったマンションやアパートの部屋を有効活用できるとあって注目されています。
日本では戸建て物件やマンションの空き部屋を民泊に転用するには、各都道府県への届け出が必要です。
では諸外国での対応はどうなっているのでしょうか?
基本的にはどこの国でも民泊を始めるため自治体や各州への事前申請・認可が必要となっており、とくにアメリカのポートランドに関しては厳しく、市への事前申請・許可はもちろん1年ごとの更新も必要です。
その反面、オランダのアムステルダムは「利用者の滞在は2か月まで、同時の宿泊者は4名まで」という制限を守れば許認可申請や認可は必要ありません。
このように条件つきで許認可を免除するケースはイギリス(ロンドン)とフランス(パリ)にもみられます。
ロンドンの場合は住居を民泊に転用する期間が90日以内であれば許認可不要、パリの場合は8か月以上居住用として使用する(実際にホストが住んでいる)のであれば届け出不要となっています。
日本では民泊の年間提供日数180日以内と決められていますが、諸外国ではどのように規制されているのでしょうか?
・アメリカ(サンノゼ)…貸し出しは年間180日以内
・イギリス(ロンドン)…年間90日以内
・オランダ(アムステルダム)…年間60日以内
・スペイン(マドリード)…年間3か月以上の貸し出し
ゲスト(利用者)は国内外から観光や出張のために民泊を利用します。
どこの誰なのかわからない方を宿泊させると、トラブル発生時に連絡先がわからず問題解決がむずかしくなることも。
そこでゲストに対する管理方法なども各国でルール化されています。
・日本…宿泊者の氏名、住所、職業、宿泊日、また外国人の場合は国籍と旅券番号を宿泊名簿に記載する
・スペイン(バルセロナ)…宿泊者の身分証の内容を登録し、警察に対して情報提供をおこなう
・フランス(パリ)…宿泊者の氏名や連絡先の情報を記録し半年間保管する
東京オリンピック開催を控え国内のホテルや旅館の供給数が足りなくなること、今後も外国人の旅行客の増加が見込めることなどから、誰も住んでいない一戸建て住宅やマンションの空き部屋を民宿に転用できると定めた民泊新法。
この法律によって国内の宿泊可能な部屋数が増え、より気軽に、より多くの方に国内旅行を楽しんでもらえるようになりました。
ところが同時に、とくに日本のルールやマナーを知らない外国人によるトラブルも増えています。
・外国人はゴミ出しルールがでたらめ
・見知らぬ外国人が頻繁にマンションを出入りする
・夜中に大声で騒ぐ、足音やドアを閉める音がうるさい
・間違えてほかの部屋のインターホンを鳴らす客がいて迷惑
「住宅宿泊事業法」(民泊新法)ではおもに以下のような点を規制しています。
・各都道府県への知事へ届け出をおこなう
・要件を満たした物件のみ民泊に転用できる
・民泊サービスの上限は180日以内
・オーナー不在の民泊は住宅宿泊管理業者への業務委託を義務付け
・宿泊者の安全確保など住宅宿泊事業の適正な遂行のための措置を義務付け
民泊新法で決められたルールを守り、適切な事業運営をおこなわなければなりません。
マンションを民泊に転用する場合、民泊新法の確認よりもまずはマンション管理法(マンション管理規約)をチェックしてください。
もしマンション管理規約に「民泊利用禁止」と明記されている場合は、どれだけ部屋の設備を整えても民泊への使用は認められません。
またマンション購入時は民泊への使用が許可されていたとしても、昨今の民泊にまつわるトラブルのため住民の4分の3以上の方の意見により「民泊利用禁止」が明記されてしまった場合も不可です。
訪日外国人の数はここ数年右肩上がりで上昇しており、2014年度と比べると2018年の年間訪日外国人数は約1,700万人増加の3,000万人となっています。
外国人観光客による経済効果はかなり高くなっており既存のホテルや旅館だけでは十分対応できず、今後も観光客を呼びこむために民泊物件を増やすことには大きな意味があります。
民泊規制のかかるマンションもありますが民泊で空き部屋の収益化を目指す方も多く、2019年3月に民泊申請件数は約14,000件と10年前に比べて5.6倍に増加。
今後もインバウンド需要を見越して、民泊申請は年々増加すると見込まれます。
条件に合致する物件を持っていても、民泊のノウハウがなければ手が出せない民泊事業。
ところが最近は民泊の申請が通れば、マッチングサイトへの登録作業や消耗品の購入・設置、部屋のインテリアコーディネート、電話対応、部屋の掃除などの管理を一括してまかせられる代行サービスも続々登場しています。
ゲストが火事を起こし部屋が燃えた、掃除の不備でゲストがケガをしたなどのトラブルに対応する民泊保険もあり、オーナー側の不安も軽減。
これらマッチングサイトや民泊代行サービス、民泊保険の充実などにより、今後は受け皿の少ない地方でも参入障壁がさがり民泊物件が増えると予測されます。
2018年からスタートした「住宅宿泊事業法」(民泊新法)により、誰も住んでいない一戸建て住宅や空いたマンションやアパートの部屋を民泊に転用できるようになりました。
新法が施行される前は、宿泊設備の整っていない物件や管理のできていない物件が民泊に転用されることもあり問題視されていましたが、新法により基準をクリアした物件に宿泊できるようになり安全性も担保されています。
国内ではインバウンド需要のさらなる増加を見越し、より多くの宿泊施設が必要です。
空き物件をもつオーナーにとって、民泊は新たなビジネスチャンス到来ともいえます。